「AIの存在におびえる人」は自分の価値を再考せよ 「人に必要とされないと嫌」思考がもたらす問題

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暦本:そもそも「必要」という概念はいつ生まれたんだろう。封建社会では有無をいわさず「おまえは米をつくれ」などと、やるべきことが自動的に決まっていたわけだし。

落合:他人に必要とされるから米をつくっていたわけじゃないですもんね。

必要とされなければ価値がない?

暦本:そう。必要もヘチマもなく、「これがおまえの仕事だ」って生まれたときから決まっていた。

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落合:自由経済が入ってきた江戸末期から明治頃から「必要」といい出したんじゃないですか。

暦本:そうか、近代資本主義社会の概念なのかもしれないね。

封建社会ではすべてが生まれたときからフィックスされているので「必要」という概念はなかったけど、近代的な市民社会になったときに初めて、「自分はAもできるしBもできるけど、どうすべきか」「Bをするためには何が必要なのか」などと考えるようになった。

落合:西洋哲学が本格的に入ってきたのもその頃ですからね。それによって人間中心主義になれば、「必要とされる人間」でなければ価値がないと考えるようになるかもしれない。

だから人間から「必要性」を奪うAIの存在に不安を感じるんでしょう。

暦本 純一 東京大学大学院情報学環教授、ソニーコンピュータサイエンス研究所フェロー・チーフサイエンスオフィサー、ソニーCSL 京都リサーチディレクター、博士(理学)

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れきもと じゅんいち / Junichi Rekimoto

世界初のモバイルAR システムNaviCam や世界初のマーカー型ARシステムCyberCode、マルチタッチシステムSmartSkin の発明者。1986年東京工業大学理学部情報科学科修士課程修了。日本電気、アルバータ大学を経て、1994年よりソニーコンピュータサイエンス研究所に勤務。2007年より東京大学大学院情報学環教授(兼ソニーコンピュータサイエンス研究所副所長)。著書に『妄想する頭 思考する手』(祥伝社)などがある。

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落合 陽一 メディアアーティスト

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おちあい よういち / Yoichi Ochiai

1987年生まれ、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。筑波大学デジタルネイチャー開発研究センター長・准教授。一般社団法人xDiversity 代表理事。2018年より内閣府知的財産戦略ビジョン専門調査会委員、内閣府「ムーンショット型研究開発制度」ビジョナリー会議委員、大阪・関西万博テーマ事業プロデューサーなどを歴任。著書に『魔法の世紀』『デジタルネイチャー』(以上、PLANETS)など多数。

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