ニューオータニ「400年の歴史」持つ絶品の鴨料理 昭和天皇も口にした一品から辿るホテルの歴史

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さて今後のホテルニューオータニの食に関しては、少しだけ課題があるように思える。1つ目は同ホテルのように、たくさんの料飲施設を抱える場合、それぞれの料飲施設を、どのように輝かせるかに苦労するという点だ。2つ目は、新しいラグジュアリーホテルが次々とオープンしている状況で、いかに新しさを打ち出すか。最後に挙げたいのは、ミシュランガイドや、アジアのベストレストラン50、美食家たちの間では、日本のホテルレストランに対する評価があまり思わしくない点だ。

歴史と伝統は大きな差別化になる

筆者は、ほかのラグジュアリーホテルと競争していくなかで、そして多くの美食家を引き付けるためにはトゥールダルジャン 東京のようなトップレベルのレストランが、全体を引っ張り、底上げしていくしかないと考える。トップレベルのレストランでは、歴史や伝統は大きな価値をもつ一方で、これまで以上に新しいことを行っていくことも重要だ。

本店は400年もの歴史を誇る「トゥールダルジャン 東京」。そして世界唯一の支店を擁するホテルニューオータニ。それぞれ40周年と60周年という節目にあって、今後ますますの発展を期待したいところだ。

東龍 グルメジャーナリスト

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とうりゅう / Toryu

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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