フィギュアにM-1、「後攻有利」のジンクスは本当か 「50音順」や「誕生日順」の見直しも検討すべき

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フィギュアスケートの例のように、採点競技は「演技が後であればあるほど有利」であることが経験的に知られています。行動経済学では、「全体順序バイアス(overall order bias)」と呼ばれています。

この認知バイアスは、スポーツだけでなくビジネスや芸術でもみられることが知られています。

たとえば、ベンチャー企業が資金を獲得するためのピッチコンテストでは、後半にプレゼンするほうが有利だと示す研究があります。

また、吹奏楽部の全国大会である全日本吹奏楽コンクールでは、演奏順が早いほど不利というジンクスが知られています。実際、朝一番の団体が金賞を取れる割合は全体の割合に比べ7割ほど低いようです[2]。

M-1グランプリでも先攻は負けフラグ?

2023年に行なわれたM-1グランプリでは、令和ロマンが優勝しましたが、ネタ順がトップバッターであったことも話題になりました。トップバッターが最終審査に残ったのも約20年ぶりでした。トップバッターはかなり不利といえるでしょう。

このように幅広い状況で、全体順序バイアスは見られます。では、この全体順序バイアスで、どれくらいの得点の差が生まれるのでしょうか。

シートン・ホール大学のロットフは体操競技を題材に、全体順序バイアスの大きさを分析しました[3]。

体操には、演技の難易度を採点するD得点(Difficulty Score、10点満点)と演技の美しさを採点するE得点(Execution Score、10点満点)があります。

全体順序バイアスは、E得点で観測されたものの、D得点では観測されませんでした。つまり、美しさのような主観的な評価において、バイアスがみられました。

そして、演技順が1つ後ろになるごとに0.008点ずつ点数が増える傾向が示されました。

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