フィギュアにM-1、「後攻有利」のジンクスは本当か 「50音順」や「誕生日順」の見直しも検討すべき

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勝者にアドバンテージがある状態が好ましいかどうかは人によって判断が分かれると思いますが、そうした競技特性があると理解して観戦すると、さらにおもしろくなるでしょう。

「50音順」や「誕生日順」も見直すべき?

全体順序バイアスを考慮すると、学校教育における出席番号順(50音順や誕生日順)の発表も見直すべきかもしれません。

行動経済学が勝敗を支配する 世界的アスリートも“つい”やってしまう不合理な選択
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絵画や書道の発表、作文や英語のスピーチコンテストなどを出席番号順で行なうことは当たり前のように考えられてきましたが、後半の発表者になるにつれて賞をもらえる可能性が高いと推測できます。

名字が「あ行」で始まる人や誕生日が早い人は、なにかとトップバッターになりがちですが、賞レースのたびに損をしていたといわれると、少し悔しい気持ちになります。

実技系の科目がある入学試験や、大規模大会につながる予選といった大切な賞レースに挑むときは、50音順を避けてもらう(ランダム順にしてもらう)よう運営に頼むことが、行動経済学の視点からみると妥当です。

参考文献
[1] Archsmith, J. E., Heyes, A., Neidell, M. J., & Sampat, B. N. (2021). The dynamics of inattention in the (baseball) field (No. w28922). National Bureau of Economic Research.
[2] 松山博幸. (2021). 審査のゆがみ: 全日本吹奏楽コンクールを例に. 応用経済学研究, 14, 45-68.
[3] Rotthoff, K. W. (2015). (Not finding a) sequential order bias in elite level gymnastics. Southern Economic Journal, 81(3), 724-741.
今泉 拓 東京大学大学院学際情報学府博士課程所属、東京スポーツ・レクリエーション専門学校非常勤講師(スポーツ分析)

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いまいずみ たく / Taku Imaizumi

1995年生まれ。東京大学理科2類に入学、教養学部に進学しコンピュータサイエンスを専攻。大学3年生のときに、データスタジアム株式会社で野球データの分析を開始。以降、株式会社ネクストベースにて野球データの分析を担当するなど6年間データ分析に従事。東京大学大学院学際情報学府では、認知科学・行動経済学を専攻。行動経済学とスポーツ分析を掛け合わせたスポーツの発展や技術向上に力を入れている。主な実績に、ARCS IDEATHON(ラグビーの傷病予測コンペティション)優勝、第18回出版甲子園準優勝、スポーツアナリティクスジャパン2022登壇など。

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