「読者の7割ばあちゃん」福岡の新聞ヒットの裏側 75歳以上が働く「うきはの宝」のリアルに迫る
うきはの宝があることで、「地元の幼なじみと再会した」「お客さんと文通が始まった」「生きがいを感じられる」「テレビや新聞を見て、私も元気になった」など、喜びの声は数えきれないほど届いている。
最近は全国から講演依頼が舞い込み、マスコミの取材も殺到。しかし、どんなに注目を浴びても、大熊さんは「成功にはほど遠い」と冷静だ。
「皆さんにすごいと言われることや、ばあちゃんたちが楽しそうに働いてくれることはとてもありがたい。ですが僕が目指しているのは、ばあちゃんたちが生きがいと収入を得られるビジネスを仕組み化して、全国で必要とする人たちに渡すこと。うちが雇用しなくても、ばあちゃんたちやばあちゃんたちと一緒に働こうとする若者が会社を作り、地域でいきいきと働く人が増えるといいなと思っています」
おじいちゃんは働かないのか?
ところで、おじいちゃんは働かないのだろうか。素朴な疑問を投げかけると、「新聞のカメラマンとして活躍してくれる方がいます。ただ、これまでは来てもらっても、僕が男性なので実はやりづらかったんです。昭和初期のじいちゃんはプライドの高い人が多く、同性の僕や同世代のばあちゃんたちを見下しがちで。若い女性のスタッフがディレクターとして入ってくれたら、もしかしたらうまくいくかもしれませんね」と打ち明ける。
目下の課題は、うきはの宝で一緒に働いてくれる経営幹部候補を探すこと。「人を募集すると、福祉系の方からたくさんお問い合わせいただくのですが、うちに必要なのは新規事業の経験者や経営がわかるビジネスパーソン。一日も早くいい人を見つけたいです」。
地元を愛するおばあちゃんたちが集まり、それぞれができることややりたいことを楽しんでやる。シフトの強制はなく、できる日にできる範囲で。そんな楽園のような会社は、確かにあった。「誰にも必要とされていない」と感じていた大熊さんは、うきはの宝によって自分の存在意義をかみしめながら、これからもチャレンジを続けていく。
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