精神科医が「高校生の患者」にする質問の中身 心理的な葛藤が体の症状に出ている場合には…
精神科医でありながら、詩壇の芥川賞とも呼ばれるH氏賞受賞の詩人としても活躍する尾久守侑先生。
そんな尾久先生による、ユーモラスで大まじめな臨床エッセイ『倫理的なサイコパス:ある精神科医の思索』より一部抜粋・編集し、3回にわたって掲載します。
第2回は、「思春期の患者への接し方」についてのお話です。
高校生の診察で
私はふだん精神科医として病院勤務をしている。一方で、週に1回は、内科外来で内科診療をしている。そこには普通の下痢や咳や腹痛の人などが次々にやってくるが、なかには15歳を超えて小児科の手を離れた思春期の患者もやってくる。どこまでを思春期とするかにはいろいろあるが、ここでは高校生を想定する。
そのさい私は、大抵SNSのことを話題にする。どんなSNSをどんなふうに使っているかということを尋ねるわけだが、当然これは最近の若者の風潮に興味を持って好奇心から聞いているわけではなく、診療情報として聴取している。
といっても、インフルエンザや急性虫垂炎(“盲腸”)の思春期患者にはSNSをどう使っているかを尋ねることはまずない。喉やお腹が痛い人にSNSの使い方を聞くのは変だし、診療の参考にならないからである。SNSの使い方を尋ねるのは、心理的な葛藤が身体の症状として出現していると見立てた患者に対してだけである。
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