ハンナ --悲しい少女と不景気と暴力《宿輪純一のシネマ経済学》
ヨーロッパ北部のフィンランドの山奥で、元CIA工作員の父親(エリック・バナ)に生まれたときから隔離され、格闘・殺人に関するテクニックを徹底的に教え込まれたハンナ(シアーシャ・ローナン)。彼女は人の痛みを知らず感情を持たず、悲しく16歳になる。
すでに父親の戦闘能力を超えていたハンナは、ある任務のためにヨーロッパへと旅立つが、父親の同僚だったCIA捜査官のマリッサ(名女優ケイト・ブランシェット)がしつこく追ってくる。マリッサはハンナの母親の仇でもある。
このハンナとマリッサがモロッコからベルリンへの移動しながら対決し、ハンナの出世の秘密が明らかになっていく……。
ハンナは旧約聖書で登場する女性の名前でもある。ヘブライ語で「恵み」の意味であることは皮肉か。
このCIAの殺人工作員系の話は映画に多い。登場する映画も『ボーン・アイデンティティー』の主人公ジェイソン・ボーン、『ザ・シークレット・サービス』の犯人、『ロング・キス・グッドナイト』の女主人公など、挙げ出すときりがない。しかもすべて悲しい人生を送る。