財政悪化と経済停滞は先進国共通の構造問題、日本企業は円高前提に対応策を--加藤隆俊・国際金融情報センター理事長(元財務官)《世界金融動乱》

財政悪化と経済停滞は先進国共通の構造問題、日本企業は円高前提に対応策を--加藤隆俊・国際金融情報センター理事長(元財務官)《世界金融動乱》

--欧米の国家債務不安、国債格下げ、金融市場の混乱の深刻度をどう受け止めているか。

根深い問題だと思う。日米欧の先進国はリーマンショック後の政策対応もあって財政状況が一段と悪化している。財政を改善するには、経済成長率が上がって歳入が増えることが最も基本的な対応となるが、先進国では財政政策による下支えが外れると、民間需要を中心とした自律的な経済成長路線にうまく乗れない状況にある。
 
 また、新興国との競争もあって雇用が伸びず、政治的にも政策が困難となっている。これらは先進国共通の構造的な問題といえる。

--米国債の格下げの正当性も含め、米国の財政の持続可能性をどう考えるか。

日本の公的債務残高がグロスの対GDP比で200%を超えていることからすれば、米国はまだ100%ぐらいなので、持続不可能という水準ではない。
 
 スタンダード&プアーズの今回の格下げで、米国債の格付けは「トリプルA(AAA)」から「ダブルAプラス(AA+)」に落ちたが、日本はそれより(2段階)下の「ダブルAマイナス(AA−)」だ。

ただ、米国の場合、ドルが基軸通貨であるということからすると、財政赤字に対して何らかの是正策が講じられないと、非居住者が引き続きドルの債務を積み上げることに応じてくれるかどうか、心配があるということだろう。

米国では今後、超党派の委員会を作って具体的な財政赤字削減策を決めていくが、年内にまとまらなければ強制的に歳出削減となる。それが米国経済にとって望ましいやり方かは議論が分かれている。

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