財政悪化と経済停滞は先進国共通の構造問題、日本企業は円高前提に対応策を--加藤隆俊・国際金融情報センター理事長(元財務官)《世界金融動乱》


 そうした中で、財政赤字削減の必要性から歳出を緊縮気味に抑える結果、景気にプラスにならないというジレンマに陥っている。

--IMFも含め、財政緊縮を金融支援の前提としている。

単一の為替レートと政策金利を与件として考えると、物価や賃金の上昇を抑えることで対外競争力を回復させる道を採るという処方箋をIMFも書いている。ギリシャやポルトガルがそうした方法を採り、他のユーロ諸国が従来通りの政策を続けていれば効果はあるかもしれない。
 
 しかし、イタリアやスペインを含めてユーロ圏の国がおしなべてそういう方法を採ると、域内の貿易ウエートが高いため、全体としてうまくいくのか疑問が生じる。

また、最近の市場での展開を見ると、フランスがトリプルAを維持できるかという議論をきっかけに、ユーロ圏の金融機関の引き当て負担増大について懸念も高まっている。ある意味、“モグラたたき”の様相を見せている。

--求められる効果的対策は何か。

周辺国とイタリア・スペインとの間に線を引くということが重要だろう。ポール・クルーグマン氏も述べているが、イタリアやスペインはプライマリーバランスが黒字の国であり、国債の発行金利が低ければ、回っていく。そこが周辺国とは違う。
 
 ただ、マーケットが両国の状況を疑い始めると調達金利が上昇し、デフォルト不安が本格化する。そのため、欧州中央銀行(ECB)や欧州金融安定化ファシリティ(EFSF)がイタリアやスペインの国債を購入して、調達金利を引き下げていくことが重要だ。

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