財政悪化と経済停滞は先進国共通の構造問題、日本企業は円高前提に対応策を--加藤隆俊・国際金融情報センター理事長(元財務官)《世界金融動乱》


 現実問題として、国際的な貿易取引や金融取引の中でドルが基軸通貨として使われていくことに短期的には変わりはない。ただ、5年、10年といった長期的には、ドルを発行している米国のこれからの経済力に関係してくる。
 
 今の状態が続けば、準備通貨としてのドルの地位が低下し、国際通貨体制も多極化していくことになるだろう。

■打ち出す“玉”がないG7とG20

--米国の財政、金融政策の手詰まり感も高まっている。

リーマンショックの直後は、インターバンク市場など金融市場が機能不全となって、米連邦準備制度理事会(FRB)が流動性を大量に供給しないと取引が成立しないという状況だった。今回はそうした状況はない。金融市場は特に大きな制約もなく機能している。

一方、リーマンショックの時は、GDP比で2%程度の財政刺激策を日本含めて採り、金融当局はゼロ金利に近いところまで政策金利を引き下げた。しかし今回は、そうした政策が採れない。伝統的な財政・金融面からのテコ入れ余地は各国とも手狭になっている。

本来なら、G7やG20の首脳が集まって明確なメッセージを出す方法もあろうが、集まっても打ち出す“玉”(効果的な具体策)がないというのが、今回の難しい問題だ。
 
 最近のG7もそうだが、集まっても具体的な政策がないと、かえって市場の失望売りを招くリスクをはらむ。G20でも、先進国と新興国との間で議論がなかなかかみ合わないという現実がある。

政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 自衛隊員も学ぶ!メンタルチューニング
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 最新の週刊東洋経済
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
三菱重工と日立 「統合」破談から<br>10年 製造立国の岐路

10年前に統合構想が破談になった三菱重工業と日立製作所。その後両社は対照的な道を歩み、2009年に伯仲していた時価総額は今や日立が大きく上回っています。本特集では明暗が分かれた三菱重工と日立を主軸に、製造立国・日本の生きる道を探りました。

東洋経済education×ICT