岸博幸氏「高齢者の社会保険料」一律支援は限界だ 治療の費用で実感した事、インタビュー後編

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

もう1つ意外と知られてないデータがあるんですが、所得税を払っている人のうち、年収330万円未満の人ってどれくらいいると思います? 8割なんですよ。先進国のはずなのに、5人中4人が年収330万円未満。地方なら年収300万円以下で暮らしている人たちもいる。

日本ってとことん貧乏で、とことんハッピーじゃない国になっちゃったんです。もう少し個人の収入が増えて、幸せになれる国にしないとダメっていうのは、入院中にすごく感じたことです。

昔みたいに企業が社員を支えられるならいいけれど、もうそういう時代じゃない。そう考えると、やっぱり政策や価値観などを、企業中心の仕組みから個人にフォーカスした形に変えていかないと、成熟した先進国になれないんじゃないという気はしています。

自分で稼ぐ力を強化する必要

――日本は、成熟した先進国になれるのでしょうか。

それが……言うは簡単で、実際に政策や制度を変えるのは大変なんです。

だから、個人から変わっていかないといけない。幸い、今の若い人たちは2~3年で会社を辞めるし、フリーランスも増えている。これはいいことだと思うんです。

自分が病気になって思うのは、やっぱり金は稼いでおいたほうがいい。そのためには、稼げるように生産性を上げないと。個人的にはこの部分がいちばん大事だと思っています。

岸博幸 経済評論家 余命10年
岸博幸さん(撮影:今井康一)

春闘で「5%くらい賃上げがあってよかったよね」って言っているけれど、違うんじゃないかな。物価が上がれば賃金も上がるって勘違いしやすいんだけど、経済学的には、賃金はその人の生産性に比例することがわかっています。

残念ながら、日本人は生産性がとても低い。だから、まずは自分で稼ぐ力を強化していかないとダメです。

――そうはいっても、どうすれば生産性を上げられるのか……。

実は生産性を上げるってそんなに難しいわけじゃなくて、早い話が、イノベーションを作り出せばいい。そのためにも、ルーティンワークはできるだけ早くすませて、その分をアウトプットに充てるべきなんですね。

さらに言うと、ルーティンワークを手早くすませるためには、デジタルを使いこなす必要があるけれど、反対に、クリエイティブな仕事をするためには、デジタルを使いすぎると失敗する。やっぱり自分の頭で考えないとだめです。

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事