意外と知らない社会保険制度の費用負担構造
日本の社会保険制度は、給付のための財源を社会保険料のみで賄っているわけではない(国、地方の費用負担あり)。加えて、日本の社会保険制度は、古くは老人保健拠出金(老人保健制度)、今は後期高齢者支援金などを出している。
つまり、当該社会保険からの直接的な給付を受ける人たちのみが当該給付に要する費用のみを負担するという原型に、すでに社会政策的な変容が加えられているのが、日本の社会保険である。
さらには、失業保険から発展して1974年に名称を変えた今の雇用保険からは、失業給付のほかに、育児休業給付や児童手当などを賄うための社会保険料や子ども・子育てへの拠出金も賄っている。
そうした社会保険制度の主財源を占める被用者保険の社会保険制度の費用負担構造というのは次のような形をしている。
日本の被用者保険では、賃金月額を標準報酬月額と呼ぶ。そして健康保険組合、協会けんぽは、賃金月額が5.8万以上になると加入でき、賃金月額に医療保険料率(例えば協会けんぽの平均保険料率10%)が掛けられ、その額(5800円)を、労働者と使用者が折半して(それぞれ2900円)、医療保険制度に拠出する(ゆえに、労働者の手取り減は2900円)。
そして、保険料率が乗じられる賃金月額には上限があり、医療保険、介護保険の場合には、139万円となる。
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