日本の介護も以前は家族依存型だった
今、あなたの家族に介護を必要とする人がいるとする。その人の介護を、家族で行う社会、いや、市場で介護サービスを購入する社会、いやいや、介護サービスは公共サービスとして提供されている社会があるとする。あなたは、どの社会がよいと思うだろうか?
次の図は、一国のある時代に存在する介護をはじめとした福祉ニーズをWとして、家族、市場、政府が生産する福祉サービスをそれぞれ、WF、WM、WGとして描いたものである。これまで福祉国家の3類型と呼んできたが、左は家族依存型、中央が市場依存型、そして右は政府依存型の福祉国家の型である(図中のFはFamily、MはMarket、GはGovernmentの略)。
W=WF+WM+WGであって、風船のようにどこかを押さえた(抑制した)としてもほかのどこかが膨らむだけである。一国の福祉ニーズという全体が減るわけではないからだ。
日本では、2000年に公的介護保険制度が創設されて、介護に関しては家族依存型から政府依存型へと近づいた。あれから23年、あの変化を望ましい変化であったと思っている人は圧倒的に多いのではないだろうか。もし介護保険がなかったら……。50代、60代という親を扶養するわれわれ世代からみても、介護保険が存在しない社会など、今やありえない話である。
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