日本企業にとって「労働力のポスト中国」はどこか?--円高で中国人賃金は依然として安い水準に


例えば同国北部にある首都ハノイは車で3時間も行けば中国との国境ですから、魅力的ですね。どこの国でもそうですが、大都市は人件費や土地代が高いので実際の工場立地は都市の郊外になります。ベトナムのホーチミンやインドのムンバイでは都市部不動産で局地的バブルが発生しています。最近は、少し落ち着いてきているようですが、供給が間に合わないとこうなります。ムンバイのホテル代なんかはシンガポールや香港より高く、まったくばかげています。

--他のアジアの国は、どうですか。日系企業が多いタイはどうでしょうか?

タイは中国と同じくらいです。1人当たりGDPで中国がタイに追いつきそうになっていますので、理にかなっていると思います。ただ、タイは社会保障負担が5%程度ですから、中国と比較してかなり安いです。タイもまだまだ魅力的な人件費です。

インドネシアやフィリピンは、大雑把にいって中国やタイの3分の2くらいです。マレーシアは、一般工員では中国やタイと同レベルですが、管理職や専門技術職ではかなり高くなります。確かにコストのバランスの取れた国で、1人当たりGDPが高い割には不動産、電力や水道などインフラコストが低く、進出しやすい国です。ただ人件費は高く、「タイ以上台湾未満」といった感じです。労働集約型産業がこれから進出する国としては、選択肢から外れます。

インドの場合は、都市と農村の差が激しく、人材の質でかなりの格差が出ます。ITエンジニアなんかでは中国より高いです。例えばムンバイの法定最低賃金は、バンコクより高いんです。ただ、郊外に行くだけでかなり安くなります。ただ、生産拠点として「労働力のポスト中国」という意味では、やっぱりベトナムでしょうか。

■インドは市場としてのポスト中国

--インドもポスト中国といわれますが、どうでしょうか?

インドの場合は、あくまで「市場としてのポスト中国」です。日本に輸出するには遠い国です。中国に乗り遅れた企業や中国で成功した企業の二匹目のどじょう狙いです。

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