「バルミューダとパナソニック」失速した根本原因 家電で稼ぐのは至難の業、大手と中堅で温度差
追い打ちをかけたのは急激な円安だ。バルミューダは工場を持たないファブレスで、中国や台湾など海外を中心に複数の工場へ製造を委託している。円安によって海外で製造している商品の製造原価が上昇し、採算性が悪化した。
そこで値上げに踏み切ると、さらに売り上げが落ちる悪循環に陥った。すでに撤退したスマートフォン事業のために従業員数を増やしていたこともあり、人件費がかさんで大幅な赤字に転落してしまった。
苦戦を強いられているのはバルミューダだけではない。国内家電最大手のパナソニック ホールディングス(HD)は、白物家電事業の一部を収益性の改善が必要な「課題事業」の1つだと明らかにした。
中国家電の”マネシタ電器”に
パナソニックの家電事業は2021年度以降、3期連続の営業減益に沈む。パナソニックHDの楠見雄規社長は「(家電事業会社の)くらしアプライアンス社全体ではそこそこの収益を出しているが、調理家電や空調が期待ほどの収益を出していない。(中略)すでにトップは交代させた」と語る。
2023年12月に新たに家電事業のトップに就任した堂埜茂氏は、収益性の改善が進んでいない理由を「一生使わないであろう機能を取り除けていないのが原因だ」と説明する。
「例えば電子レンジ。1000個ぐらい機能があって多くのセンサーが入っているが、本当に必要なのか。ほとんど移動させない炊飯器にコードを収納できるリールが必要か、と考えていくとシンプルにできる」(堂埜氏)。そして「よくないプライドを捨て、世界で通用する製品を作っている中国メーカーの“マネシタ”電器になる」と続ける。
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