空前の円安でも苦戦、電子部品"反転"の次なる本命 中国とスマホは望み薄、車載とAI関連が期待大

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スマホ向けのMLCCと比べると、車載向けはより高信頼性が要求される。サイズも大きく、高単価だ。自動車全体の生産台数は横ばいにとどまり、EVの勢いが鈍化したとしても、村田製作所やTDKにとっては業績の牽引役。村田製作所は2024年度のモビリティ関連の売上高が、前年度から約10%上昇すると予想する。

AI(人工知能)サーバー向けも期待を集めている。計算量が増える生成AIの利用が拡大すると、消費電力が増えるため、これまでより大容量のコンデンサーが必要となる。低迷していた従来型のデータセンター需要も、回復基調にある。

こうした背景もあり、2025年3月期は好調を見込む。村田製作所は営業利益3000億円(前期比39.2%増)、太陽誘電は200億円(同120.3%増)、TDKは1800億円(同4.1%増)の会社計画を掲げる。

民生向けは厳しさ脱せず

懸念されるのは家電など民生品の動向だ。村田製作所は電動工具向けリチウムイオン二次電池事業で在庫調整が長引き、前期に495億円の減損を計上。今期も数十億円の減損を見込む。

中国市場の動向も焦点となる。設備投資需要が伸び悩み、産業機器向け部品の需要が低迷している。太陽誘電は2024年度下期から回復すると見通すが、TDKの齋藤社長は「産業機器市場におけるFA機器全般の生産台数は回復の兆しが見えず、年間を通して弱含むと見込んでいる」と語る。

TDKは売上高の約50%を小型品を中心とした二次電池が占め、世界シェアトップだ。バッテリーとして使われるため、価格帯を問わずスマホには必須の部品となっている。民需の弱さから高級機種が売れにくくなり、先端品のコンデンサーなどが悪影響を受ける中でも、比較的堅調に推移した。

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