あなたは今カジノでルーレットに興じています。チップを握りしめながら、勝負のタイミングを見計らっています。また「赤」が出ました。これで、なんと5回連続です。これまで同じ色が5回も続いて出たことはなかったような気がします。さあ、あなたはここぞとばかり勝負に出ます。
もしここで「黒に違いない」と考えたならば、あなたは確率論の落とし穴にハマっています。ルーレットの赤と黒の確率はいつでも1/2であることはわかっているのですが、赤が何度も続けて出るので「もうそろそろ、黒が出るはずだ」と勘違いしてしまったのでしょう。
これは「ギャンブラーの誤謬」と呼ばれる確率論の落とし穴のひとつです。試験問題の4肢択一で同じ番号が何回も続くと何か不安になったりする心理も同じです。女の子が3人続けて生まれていると、次はそろそろ男の子が生まれるような錯覚を覚えてしまう心理です。
このような確率論の落とし穴の例はいくらでもあります。それほど、確率論はわかりにくいものです。頭で理解しているようでも、感覚が付いていっていないのです。
保険を支えているのは確率論
コインを投げると表と裏になる確率はそれぞれ50%になることは誰でも感覚的に知っています。しかし、だからといって10回投げた時に表が必ず5回出るとは限りません、表が1回の場合もあれば、3回かもしれません。しかし100回、1000回と投げる回数が大きくなると、表の出る回数は50回、そして500回へと50%の確率に近づいていきます。これが「大数の法則」です。保険を支える数理的な基本法則になっています。
この法則を使うことで、将来のある事象の発生確率を推定することができるようになります。あるひとりの人間がいつ死ぬかは誰にも分かりません。しかし10万人のうち何人程度がいつ頃死ぬかは推定可能となるのです。このように確率論により、未来は過去のデータからある程度推定することができるようになりました。そのおかげで、保険料が計算できるのです。
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