クビ→43歳でシェフ転身「人気者になった方法」 駆け出しシェフが感じたレシピ本の威力

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そこから、思いがけず、多くの人が私のフェイスブックをフォローしてくれるようになりました。フォロワーが10万人に達した後、出版社から私のレシピ本を出版したいという打診があったのです。

自分の本を出すなんて夢にも思っていなかったので、とても嬉しかったのをよく覚えています。私の料理をもっと多くの人に知ってもらえるだろうって。ネットで料理動画を公開していたこともあって、レシピ本を作ることはそれほど難しいとは思わなかったのです。

レシピ本と動画の「難しいところ」

ところが、料理動画のレシピ本の執筆には共通の難しさがありました。毎日料理をしている私にとって、メインの食材以外の「副食材」の分量は、「自然な量(いわゆる目分量)」だったのです。また、例えば鶏肉の「柔らかさ」によって砂糖の量を調整するなど、料理をするたびに食材を「感じる」ことを大事にしていました。

一方で、料理動画やレシピ本では、「自然な量」や「感覚」を数値化しなければなりません。もちろん、より科学的に料理をできるようになったので、料理好きな人たちにも伝わりやすくなったのは非常にいい経験となりました。

実際、レシピ本の売れ行きも好調で、多くのファンが買ってくれました。しかし、私はこの本には満足はできませんでした。出版社はビジネスなので採算を気にしないといけないことは理解できるのですが、写真の質も含めて私の料理とその過程をもっと楽しく伝えたいという思いが残ったのです。

そこで、私はレシピ本を自費出版することに決め、香港でトップのフードスタイリストに写真もお願いすることにしました。印刷代が多額になるので、クラウドファンディングをすることにしましたが、こうしたプラットフォームは主にハイテク製品のためのもので、多くの人に「ほかの資金調達手段や出版方法を考えたほうがいいんじゃない?」と忠告を受けました。

酢豚の燻製(写真:『Grace's Kitchen』より)
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