トヨタが「BYDの技術を採用」で呼ぶ大きな波紋 日本メーカーが中国テックに秋波を送る意味

✎ 1〜 ✎ 179 ✎ 180 ✎ 181 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

自動車の知能化が進む中、通信技術やIoT(モノのインターネット化)などの技術との親和性が高いテック企業は、現在の流れを商機と捉えているようだ。

車両の電動化を前提とするコネクテッドカー市場は、エンジン車生産と異なるコンセプトでルールチェンジされ、新たな口火が切られたといえる。ファーウェイ、バイドゥ、シャオミなど異業種から参入した企業が、本業のエコシステムを活用し、斬新なデザインや機能で消費者の目を奪っているのだ。

さまざまなデジタルデバイスにより新たな機能が追求されるスマートカー(写真:Xpeng)
さまざまなデジタルデバイスにより新たな機能が追求されるスマートカー(写真:Xpeng)

地場自動車メーカーも無視はできず、相次いでスマートカー開発に力を入れている。こうした新潮流の後押しにより、中国のBEVは想像以上のスピードで進化しているのである。

中国企業の急速な拡大に遅れないために

ガソリン車時代は、外資系合弁メーカーが製品力とブランド力を武器に、中国市場で圧倒的地位を構築してきた。ここにきて、地場自動車メーカーがBEV市場で先行し、「モノづくり力」も急速にキャッチアップしている。

日米欧自動車メーカーのBEVが、中国テック企業に秋波を送り始めたことは、中国BEVの基幹技術やサプライチェーンの競争力が高いことを示しているといってよい。

冒頭のbZ3Cの室内。大きなディスプレイを中心としたデザイン(写真:トヨタ自動車)
冒頭のbZ3Cの室内。大きなディスプレイを中心としたデザイン(写真:トヨタ自動車)

「日本勢は、中国市場をグローバル市場と切り分け、BEVラボと位置づけるべきだ」との声も聞こえてくる。しかし、中国BEV市場の拡大は、決して技術・消費嗜好のガラパゴス化にならず、中国勢は自動車輸出を強化。さらに東南アジア、南米、ヨーロッパにもBEV工場を建設し始めている。

全方位戦略、電動車専業、エンジン車のニッチ市場などに取り組む日本勢は、中国テック企業との協業を含む合従連衡を模索する必要があるだろう。同時に、スマートカー技術や乗車体験の向上も必要であり、サプライヤーチェーンの変革を通じた電動化シフトの成果を少しでも早く見せる必要がある。

この記事の画像を見る(8枚)
湯 進 みずほ銀行ビジネスソリューション部 上席主任研究員、上海工程技術大学客員教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

タン ジン / Tang Jin

みずほ銀行で自動車・エレクトロニック産業を中心とした中国の産業経済についての調査業務を経て、日本・中国自動車業界の知見を活用した日系自動車関連の中国事業を支援。現場主義を掲げる産業エコノミストとして中国自動車産業の生の情報を継続的に発信。中央大学兼任教員、専修大学客員研究員を歴任。『中国のCASE革命 2035年のモビリティ未来図』(日本経済新聞出版、2021年)など著書・論文多数。(論考はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事