中国自動車産業の発展を引っ張ってきたヨーロッパ勢は、技術を「与える側」から「もらう側」へと立場を変えつつあるものの、中国大手のテック企業との提携は慎重に模索している模様だ。
その背景には、中国のメガテック企業「BATH」(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイの頭文字からなる造語)が中国BEV業界で頭角を現していることがある。ヨーロッパ勢は、システムを含む基幹部品をこれらメガテック企業と提携することで、地位低下する懸念があるからだ。
BEVメーカーの淘汰が進み強い者が勝ち残る
一方、ジャパンモビリティショー2023での「中国のBEVはスマートフォンのアイコンを並べているだけで技術的な驚きはない」というソニー・ホンダモビリティの川西泉社長の発言が、中国で物議を醸した。
たしかに、中国ではBEVメーカーが乱立し、車載・コネクテッド技術にバラツキがあることは否めない。しかし、メーカーの淘汰は進んでおり、強い者がますます強くなり、そうでない者との格差が広がる「マタイ効果」が顕在化しつつある。
ファーウェイは、独自のスマートモビリティソリューションの「鴻蒙智行(HIMA=ハイマ)」を地場自動車メーカーに提供し、ファーウェイ色の濃いスマートカー連合を確実に拡大させている。
中でも「問界」「智界」など、HIMA系列ブランドの販売台数は2024年1~4月に計12万台に達し、中国新興勢の首位に躍進した。
バイドゥは、中国大手の吉利汽車(ジーリー)と合弁で「極越汽車(ジーユェ)」を展開し、2023年11月にLiDARを利用しない高度自動運システムを搭載するBEV、「極越01」を投入。アリババグループと上海汽車(シャンハイ)、張江高科技の3社共同で設立したBEVメーカー「智己汽車(IM Motors)は、2022年に高級BEV「智己L7」を生産開始した。
スマートフォン大手のシャオミが今年3月末に発売した同社初のBEV「SU7」は、家電やスマホなど各種デバイスが連動する機能を導入し、「走るスマホ」を目指している。
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