次に問題となるのは、移動距離です。
広いということは、原料や製品を運ぶ距離のムダが増えます。広いと、いろいろなものを置くことができます。いちいち持ってくるのが面倒なので、できるだけ多く持ってきたがるのが人情です。
いろいろなものが置かれると、けがが増えます。また、部屋により温湿度が違います。原料などの劣化につながることもあるのです。
これ以外にも問題が次から次へと出てきました。私にとってははじめての食品工場の立ち上げでしたが、いろいろなことを学べたのが成果でした。
ドリアでターメリックライスを使う理由
さらにその2カ月後、福島工場が立ち上がりました。こちらは冷凍米飯、つまりドリアやピラフをつくるのが目的でした。
当時のミラノ風ドリアはケチャップライスだったので、ご飯を炊いてケチャップを混ぜて、そこにホワイトソースをかけ、さらにミートソースをのせて焼き上げます。
ケチャップライスをつくるところまでを工場でやろうとしたところ、まずケチャップがそこら中に飛び散る。さらに、混ぜているうちに全部団子状になってしまう。いろいろな問題があるということで、ケチャップライスは断念しました。
そこで正垣泰彦社長(当時)に相談し、つくりやすさやコストなどを考慮してターメリックライスを使うことになりました(イタリアでは、黄色いライスのほとんどはサフランライスですが、独特のにおいやコスト面などから採用は見送りました)。
工場立ち上げの時点ではピラフづくりにも取り組みましたが、ここでも問題が山積みでした。
コーンやニンジン入りのピラフをコンベア式冷凍機でばらばらの状態で凍結させます。塊があると店で加熱するときに冷たい部分が残ることを回避するためです。その際に使用する強力な風でコーンやカットニンジンがコンベアの外に吹き飛ばされるのです。
入れたコーンの何割かがゴミになってしまって、歩留まりがひどい状態でした。掃除がまたたいへんで、1日4時間稼働すると、その洗浄に12時間かかる。どう考えてもコストパフォーマンスが悪いわけです。
その冷凍機メーカーの技術屋にこれは問題ではないかと尋ねると、「掃除しやすい構造にしてあります」と自信たっぷりに言うので、その冷凍機内に入ってみました。
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