(1本目) 「初デートでサイゼはない」に元社長が喜んだ理由
(2本目) サイゼリヤのホワイトソース「さらさら」の秘密
「おいしさ」の定義が違う
味の素にいた私に「サイゼリヤに来ないか」と声がかかったとき、最初は断るつもりでした。化学プラントを担当していた私には、レストランチェーンというのは、まったく畑違いに思えたからです。
ところが、何度断っても、声がかかります。2年間断り続けましたが、最後に当時の社長で、現在は会長の正垣泰彦さんに会ってくれと言われ、しかたなくクリスマス・イブの日に出向いていったのです。
社長と私、そして私をサイゼリヤに誘ってくれた元上司の3人で、1人数万円はするであろう高級ホテルのディナーを囲みました。すると、豪華な皿を前にした正垣さんがビックリするようなことを口にしたのです、「これ、うまくないだろ?」と。
ここにあるような技巧を凝らした料理は「売るための料理」「高いお金を出させるための料理」だから、おいしくないし、毎日食べられない。つまり「おいしさの定義が違う」というのです。
正垣さんのこの言葉に、私の心はグラッときました。この人はいったいどういう人なんだろう?と興味を持ってしまったのです。
それでついにサイゼリヤへの入社を決意することになるのですが、この「売るための料理」「金をとるための料理」の話は、その後も正垣さんからよく聞きました。
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