サイゼ元社長が目指した「飲食店版のユニクロ」 おいしい野菜を安く安定的に供給できる仕組み

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商品企画を務めていた数年のうちに、体重が約15キロほど増えました。そのため腰痛になり、杖を突いていた時期もありました。

私が社長、正垣さんが会長になってからの役割は次のように変わりました。正垣さんはまずいものを検知する能力に長けているので、味のダメ出しをする役割です。そして私は、「どうやってこの味を商品化すべきか」を考える役割でした。

採れたて野菜をメニューに加える

私が社長になって以降、力を入れたのが「野菜」です。入社当初から農業を担当し、その後も工場の立ち上げチームを率いていたことから、野菜の生産・加工には、改良の余地がたくさんあると思っていました。

農家に行ってまず驚くのは、野菜の味や食感です。スーパーで買う野菜とはまるで違うのです。

だから、そのままの野菜をお客さまに食べてもらおうというのが当面の目標になりました。「売れそうだからつくる」のではなく、「おいしいから食べてみて」というのがサイゼリヤの原点であり、繁盛店に共通する点です。

野菜のおいしさは、鮮度で決まります。収穫後からすぐに味がどんどん変わっていくものが多くあります。また、破棄している部分でも普通に食べられるものが多くあることを知りました。

そこで野菜はできるだけ気温が低いうちに収穫して、すぐに温度を下げます。そして、これまで使用してこなかったものも買い取る。そして、工場につけばできるだけ早く加工する。

おいしさが落ちる前に、これでもかというくらい、ふんだんに使って加工するわけです。

ほかのレストランチェーンを見ればわかりますが、野菜のメニューは実はそれほど多くありません。とくに葉物野菜の量は限られています。

健康志向の高まりで、サラダを充実させたレストランは増えていますが、野菜は高いし、すぐに悪くなる。

だから、サイゼリヤと同じ価格帯で、サイゼリヤと同じ量のレタスを使ったサラダは、見たことがありません。日持ちがするキャベツならわかりますが、レタスではそもそも無理なのです。

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