「広告が不快」グランスタ東京の炎上に残る違和感 Apple、サッポロなど相次ぐ広告炎上対応で考えること

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サッポロビール「黒ラベル」の広告に起用されたダンサーの未成年飲酒疑惑は、1のケースにあたる。10年以上も前のこととはいえ、未成年飲酒は違法行為であり、かつアルコールのCMでもあるので、今の時勢を鑑みても取り下げになるのはやむをえない。

厳密に言えば、現在アルコールの広告に出演しているタレント全員が過去に未成年飲酒をしていなかったという保証はあるのか?という疑問もわくが、「表沙汰になっていない以上はなかったことにする」としないと、果てしないことになってしまう。

直近で問題になったグランスタ東京、iPadの事例は2にあたる。こちらはさらに厄介だ。見た人が「不快感を覚える」「違和感を覚える」と苦情を訴えたものだが、人によって受け止め方はさまざまで、当然ながら主観的な部分が大きく、明確に判断するのは難しい。

筆者自身、これまで多くの企業の広告効果の検証を行い、SNSの口コミを分析してきたが、「不快だ」という意見が一定数出ていたという理由で取り下げを勧めることはしてこなかった。

そもそもSNS上の口コミが世の中一般の声とは限らない(むしろそうでないことも多い)。また、攻めた表現ほど批判の声も多くなりがちだが、刺激的な表現のほうが広告効果は高くなる場合もある。

「グランスタ東京」の広告取り下げは正しかったのか?

グランスタ東京の広告に関しては、取り下げの判断に対して、SNSやニュースのコメント欄には、「(取り下げたことが)過剰反応だ」「取り下げる必要はなかった」とする声が大勢を占めていた。筆者も同様の意見である。

違和感を持つ人は一定数いたとしても、人を傷つけるような表現にはなっていない。少し考えれば、母親、あるいは親子関係に関してポジティブなメッセージを発信していることはわかる。何よりも、駅構内という場所の特性をうまく活用した良い広告であると思う。

類似の例でいえば、2021年10月にJR品川駅のコンコースのモニターに掲示された「今日の仕事は、楽しみですか。」というメッセージの広告が炎上して1日で取り下げになった例がある。

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