ラーメン屋経営で地獄見たプロレスラーの気づき 川田利明が向き合う「お客様は神様です」の怖さ

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そして油も高ければいいというわけではなく、肉質にあったものを、自分で試しながら探していく必要がある。たしかにこんな手間はお客さんにわかってもらえるはずもない。

定期的にフライヤーの油は入れ替える。その時にこれまで使っていた油を濾して、旨みがほどよく凝縮した部分も、新しい油に適量、注いであげる。このひと手間で美味しさはかなり変わってくる。

焼肉屋やうなぎ屋で「秘伝のタレを何年も何十年も継ぎ足しています」というのと同じ理屈だ。だから唐揚げに関しては、日々、美味しくなっているんじゃないかな。

手間を惜しまなければ、いつか客にも通じるはず

こうやって手間を惜しまず続けていれば、いつかはお客さんにもわかってもらえる時がくる。俺はそう信じたい。

かけた手間の分だけ、「なんだか無性にあの唐揚げが食べたくなってきちゃったよ」と言われると、コツコツと手間をかけてきてよかったな、と思うのだ。ちなみに唐揚げも大きな利益が出るわけではない。

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原価といえば、一般的な指標では、ラーメンの一杯あたりの原価率は平均して、約35%といわれている。わかりやすい例でいうと、ラーメン一杯を1000円で出す場合は350円の原価がかかっていて、650円の利益が出るという計算だ。

ただこれはチェーン店などで徹底的にコストカットした場合の数字だと思う。

ウチみたいにいろいろと手間をかけている個人店ではそうはいかない。唐揚げだって、ご覧のとおり大変な手間と時間がかかっているからね。

俺からアドバイスをおくるなら、「手間も原価もかからないメニュー作りをどうぞ」となる。でも俺は今日も手間を惜しまず、唐揚げの肉の下ごしらえをしている。

川田 利明 「麺ジャラスK」店主、プロレスラー

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かわだ としあき / Toshiaki Kawada

1963年生まれ。高校ではレスリング部に所属し、国体優勝後の82年3月に全日本プロレスに入団。87年には天龍源一郎の「天龍同盟」に加入し、世界最強タッグ決定リーグ戦の奮闘などで大きな注目を集める。94年、第12代三冠ヘビー級王者に。三沢、小橋建太、田上明との闘いは「四天王プロレス」と呼ばれ、全国のプロレスファンを大いに興奮させた。現在、レスラーとしてはリングから遠ざかっているが、2018年からは自身初のプロデュース興行となる「Holy War」を開催。プロレス界の発展に尽力している。10年6月12日、ラーメンと鶏の唐揚げを看板料理に、自身のニックネームにちなんだ「麺ジャラスK」を開店。

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