「柏」「川越」戦略地域でも閉店強いられるヨーカ堂 行ってわかった、首都圏・駅前でも苦戦の理由

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川越店は総合スーパーとして1967年に開業し、再開発後の2019年に2階建ての小型食品スーパー業態としてオープンしたばかり。西武新宿線の本川越駅から徒歩1分と、こちらも駅前好立地だ。

食品スーパーとしては珍しく、生鮮食品は1階ではなく2階中心に取り扱う。1階は総菜など即食商品の品ぞろえを強化し、周辺の通勤客や共働き世帯などの簡便ニーズを取り込もうという狙いだった。

駅前立地でも休日の集客に苦戦

ヨーカ堂は「首都圏と食という、まだ勝てる見込みのある地域、事業に経営資源を集中させる」(山本哲也社長)という方針を掲げており、川越店はその両方に当てはまる。他チェーンの幹部も市場調査に頻繁に訪れており、一時は戦略店舗とさえいわれていた。しかし今年7月、リニューアルオープンから4年も経たずに撤退という結末を迎える。

本川越駅から徒歩1分にある「イトーヨーカドー食品館 川越店」(記者撮影)

競合の見方は冷静だ。大手チェーンの幹部は「平日の帰宅客はとれていたみたいだが、休日はガラガラ。地元客のヘビーユーザーを作れていないのでは」と話す。

4月のある土曜日、実際に記者も足を運んでみた。1階、2階ともに「ガラガラ」とまではいかないものの、客数は数えられる程度であり、休日に地元密着型のスーパーを訪れたときの活気は感じられなかった。1ブロック隣の商店街は歩きづらいほどの観光客で賑わっていたにもかかわらず、店内に観光客とおぼしき人が見つからなかったのも印象的だった。

川越市に住む50代パートの女性は「川越市は割と車社会。休日に車で利用しようにも提携駐車場からは徒歩5分も離れていて不便だった」と話す。

川越店の半径1キロ前後には競合のベルクやヤオコーが店舗を構える。どちらも価格や品質面で定評のある有力スーパーだ。イトーヨーカドーに比べ、駅からは遠いものの、大型駐車場併設で広域からの集客を可能にしている。川越店の敗因は商品面のほか、有利と見られた立地面にもあるかもしれない。

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