介護費を兄が工面、脳出血になった独居弟の苦悩 「体は資本」老後まで使い続けるなら過信は禁物

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Aさんは脳出血の影響で半身まひとなり、生業としていたイラストを描けなくなりました。これまで仕事中心の生活を送ってきて、誇りを持って仕事を続けてきたAさんにとって、イラストが描けなくなってしまうのは、まさに“筆舌に尽くしがたい”喪失感があったようです。

ただ、手足に不自由はあるものの、頭はクリアで、まひのない手を動かすことはできます。

本気でやろうと思えば、何か収入を得られる仕事もあったのではと思いますが、Aさんはイラストを描く仕事へのこだわりが強いあまり、仕事を探すことはせず、50歳から貯金を取り崩しながら生活するようになりました。

介護のための費用に月5~6万円

年金などが受給できない若い現役世代で収入が途絶えれば、当然ながら、生活が厳しくなります。

「要介護4」と認定されたAさんの場合、介護保険サービスの利用分と、全額自費の介護サービスと合わせ、毎月5万〜6万円前後の費用がかかっていました。

Aさんは独身で一人暮らし。室内は車いすで移動し、ベッドから車いすへの移動や、車いすからトイレへの移動も自力でできます。しかし、買い物や入浴には介助が必要です。

こうした状態を支えるべく、訪問介護が週2回、身体機能を維持するための訪問リハビリが週2回、健康状態を確認するための訪問看護が隔週1回というケアプランを組んでいました。

介護保険の場合、介護度などによっても違ってきますが、1カ月に使える金額の上限(支給限度額)が決まっています。Aさんは毎月、この限度額ぎりぎりまでサービスを利用して、在宅での生活を続けていましたが、月によっては限度額を超え、全額自己負担で介護サービスを利用することもありました。

介護保険では、自己負担が1割の場合、3万円のサービスを3000円で受けられます。ただ、これはあらかじめ決まっている限度額までの話です。限度額を超えると、オーバーした分のサービスは全額自己負担となります。

貯金を取り崩しながら生活しているAさんにとって、費用負担が大きいため、兄の金銭的な援助に頼る状態が続いていました。

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