「ガチャ化する社会」でZ世代が持つべき考え方 上司、配属、ガチャの当たりはどこにある?

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そのエージェントは、あるときお得意様に率直に伝えたそうだ。

「悪いですけど、○○さんが変わらない限り、次の職場でも同じことになると思います。われわれも何度も新しい職場を紹介したいわけではありませんし、○○さんにとってもよいことではないでしょう。今のところでもうちょっと続けてみませんか?」

なおエージェントの真摯な忠告は聞き入れられず、その方は未だにリピーターでいてくれているらしい。

このエージェントの方は善良だからよかったものの、ガチャ志向はいくらでも悪用できる。当たりが何なのかも認識できないままに、またハズレだと運と他人を恨みガチャを回し続ける人たちは、そういう人を顧客にしているビジネスにとってみれば、格好のカモでしかないのである。

主観確率は今後いくらでも良化しうる

じゃあなんだ、ガチャ外れても我慢しろってことか、結局根性論か、みたいな反論も聞こえてきそうだ。一つだけ、人間の主観世界は変わりうるものだ、ということはお伝えしておきたい。最初はイヤな人だ、合わないなあと思っていても、なんだか慣れてくるとよいとこも見えてくるし、次第に気にならなくなってくる。そういう楽観的な見通しをもってもよいのでないか。少なくとも、ガチャを回し続けるよりは賢明に思える。

一見するとハズレのガチャは世にありふれている。ただ、当たりを決定づけるあなたの主観確率は今後時間を経ていくらでもよい方に転がっていくよ、とガチャが外れて嘆く方には強調しておきたい。特に、まだまだ時間が残されているZ世代ならば、片っ端からハズレ認定するよりは泥の中に蓮を見出す力を磨いた方がよほど当たりが待っているはずだ、とわれわれは伝えないといけない。

舟津 昌平 経営学者、東京大学大学院経済学研究科講師

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ふなつ しょうへい / Shohei Funatsu

1989年奈良県生まれ。2012年京都大学法学部卒業、14年京都大学大学院経営管理教育部修了、19年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了、博士(経済学)。京都大学大学院経済学研究科特定助教、京都産業大学経営学部准教授などを経て、23年10月より現職。著書に『制度複雑性のマネジメント』(白桃書房、2023年度日本ベンチャー学会清成忠男賞書籍部門受賞)、『組織変革論』(中央経済社)などがある。

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