GW盛況の異色フェス「板橋の高校生が企画」のなぜ 外国人の力をテコにした地域おこしのヒントを探る

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しかし、課題もいろいろとあった。日本人のお客は未知のネパール料理にも興味を持ってチャレンジする人が多いのだが、ネパール人はそうでもないのだ。

「ネパール料理以外のものを食べる習慣があまりないんです。だから心配はしていたのですが……」(ケーシーさん)

せっかくの交流イベントなのに、日本の店だけお客が少ないのである。またネパール人の多くはヒンドゥー教徒だが、日本の店の中にはタブーの牛肉を出すところもあって、残念ながらそこのお客は日本人中心。どういう料理なのかよくわからないという不安もネパール人にはあったようだ。

ネパールの飲食ブースは大人気。しかしネパール人が日本のブースで食べる姿は少なかった

これを改善しようと初日が終わった後の反省会で鈴木さんから提案があり、ネパール人にも日本の店をもっと楽しんでもらうよう、日曜日はケーシーさんから呼びかけてもらった。

さらにネパール語で料理や使っている食材の説明を掲示する店もあり、いくらかはネパール人の興味を引いたようだ。

ネパール語を併記するブースも

これだけ人が集まるイベントは魅力的

また、これはほかのイベントでもよくあることだろうけれど、騒音、ごみ、タバコ、違法駐車といった苦情も寄せられ、その都度スタッフが対応に走った。

それでも、当初想定をはるかに上回る人数が2日間で来場。その盛況を前に、ある飲食ブースの日本人は言う。

「これだけ人が集まるイベントというのは商店街として魅力です。駅からこの公園まで日本人もネパール人もみんな歩いてきますから。その間に、こういう店があるんだ、面白そうな街だなって思ってもらえたら」

実際、かなりの数のネパール人が地域の店を利用したと間中さんは言う。

「スーパーマーケットやコンビニ、ラーメン店など、ネパール人がすごく入ってくれて。経済効果がありました」

ケーシーさんは言う。

「いろんな反省はありますが、すべて勉強です。来年に生かしたい。今回で終わらないで来年以降も交流を続けないと、意味がないと思うんです」

本当の意味で“混ざーる”にはもう少し時間がかかりそうだが、それでもこうしたイベントを開こうという人々がいることが大切なのだと思う。果たして板橋の新イベントとして定着するだろうか。

室橋 裕和 ライター

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むろはし ひろかず / Hirokazu Murohashi

1974年生まれ。週刊誌記者を経てタイに移住。現地発の日本語情報誌に在籍し、10年に渡りタイ及び周辺国を取材する。帰国後はアジア専門のライター、編集者として活動。「アジアに生きる日本人」「日本に生きるアジア人」をテーマとしている。主な著書は『ルポ新大久保』(辰巳出版)、『日本の異国』(晶文社)、『おとなの青春旅行』(講談社現代新書)、『バンコクドリーム Gダイアリー編集部青春記』(イーストプレス)、『海外暮らし最強ナビ・アジア編』(辰巳出版)など。

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