GW盛況の異色フェス「板橋の高校生が企画」のなぜ 外国人の力をテコにした地域おこしのヒントを探る
板橋区も年々、外国人が増えている。人口57万4768人のうち、いまでは3万3390人が外国籍だ(2024年4月現在)。
従来から多かった中国、韓国に加えて、ネパールとベトナムの伸びが著しい。新参の人々は留学生や会社員、その家族が中心だが、外国人の増加に伴いトラブルも目立つようになってきた。
「ごみ出しの問題など、地域からの苦情が増えています」(間中さん)
そんなこともあってか、日本人からの視線には偏見も混じる。鈴木さんは友達に、近所にも増えている外国人についてどう思うか聞いてみたことがあるそうだ。
「外見が違うし、怖いよねって答えもあって。それでも、同じ板橋区民だと思ってるよって言う人もいました」
付き合い方を模索しているからこそ、こんなイベントを通して顔を合わせる機会が必要なのではないか。そんな空気も日本人側にはあったようだ。
「(フェスをつくる上で)たいへんだったのはコミュニケーション。でも、このイベントをやる意味は、そのコミュニケーションにあると思う」
ケーシーさんが言った。
多くのネパール人が詰めかけた
いよいよ当日。フェスは4月27日、28日と行われたのだが、驚くほどの人数が上板橋に詰めかけた。お昼前後は地元の日本人が多かったが、だんだんとネパール人が増えていく。両日とも夕方には会場のほとんどがネパール人で埋め尽くされたほどだ。
ネパール料理のブースはどこも大にぎわいで、片言の日本語で声を上げてお客を呼び込む店員の姿もある。
カレーなどは結局、「上水道につながったシンクと手洗い設備」を前もってブース内で用意することで保健所が定める条件を満たし、取り扱えることになったようだ。
射的や綿あめといった日本のブースは、ネパール人の子どもたちが興味津々。親にお小遣いをねだって綿あめを買って喜ぶ様子は、日本人の子どもと変わらない。
そしてネパール人に大ウケだったのは「いたばしプロレス」だ。身体を張ったコントのようなやり取りや、大迫力の技の応酬は、言葉や文化の壁を超えるものがあったようで、リングは歓声に包まれた。
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