ポーランド政府が隠した、難民の「不都合な真実」 強制送還されるか、極寒の森の中を彷徨うか…

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完成した映画は、世界中の観客に衝撃を与え、2023年ヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞したのをはじめ、数多くの映画賞に輝いた。

世界的な評価の一方で、ポーランド政府は本作上映の妨害工作を行うに至ったが、政府の思惑とは裏腹にポーランドで大ヒットを記録。

その直後にポーランドの右派政権は退陣し、政権交代が行われた。そこで今回は、ポーランド政府や右派勢力の妨害にも屈せずに、表現の自由を守るために戦ったアグニエシュカ・ホランド監督に話を聞いた。

映画の公開時にも妨害があった

――この映画が2023年9月にポーランドで劇場公開されたときに、ポーランド政府がこの映画のことを猛烈に非難し、映画館に対して「この映画は事実と異なる」というPR映像を流すように命じました。ですが、ほとんどの独立系映画館がその命令を拒否したという話を聞きました。ポーランドでは2023年12月に右派政権からの政権交代が行われましたが、独立系映画館がそうした政府の要求にノーを突きつけたというのは、そうした社会情勢とも関係があったのでしょうか?

この映画がポーランドで公開された当時の政府は、非常に独裁主義的でポピュリズム、国粋主義的なところがある右派政権で、そんな政権がかなり長いこと続いていました。

彼らは特にプロパガンダとして移民・難民問題を政治的に利用してきたわけなんです。それは非常にレイシズムを含んだプロパガンダでした。難民のことを、我が国に避難を求める人々だとみなすことはなく、彼らのことをテロリストであるとか、小児性愛者であるとか、動物虐待者の集団であるといった言いがかりをつけて、国民に嫌悪感や恐怖をあおるようなプロパガンダをつくりあげました。

映画の公開時にも、政府からの攻撃がありました。それこそ法務大臣や大統領、首相といった、政治的な地位が高いような人たちが、わたしのことを売国奴であるとか、あるいはナチスのプロパガンダであるとか、ゲッペルス、スターリン、プーチンだとか、そういった非難を浴びせてきました。

政府はかなり本気で、自分たちの作品を妨害するためのキャンペーンを打ってきたわけです。でもそれはある意味、彼らが隠しておきたかったことを、わたしたちが明るみに出してしまうことを危惧してのことでした。

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