日立、グループの再編に成功した「ただ1つの理由」 「必要な会社は残し不要な会社は売る」ではダメ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

CEO就任以来、私は中西さんの方針を継承し、ルマーダが象徴するデジタル技術を活用した社会イノベーション事業を中心とした、課題解決・サービス提供型ビジネスに重心を移す方針で諸改革に着手しました。

別の言い方をすると、ライトアセットへの転換です。ライトにはRightとLightがありますが、その両方です。つまり、適切かつ軽い保有資産への転換です。

資産の回転率を上げ、資本効率を高めることが企業経営においては重要ですが、100%子会社でなくとも、連結子会社はすべての資産が日立グループ連結のバランスシートに計上されてしまいます。また、日立の成長をわかりやすく示すには、EPSを大きくすることに尽きますが、非支配持分(日立以外の株主)の利益は日立グループの当期利益には残りません。そのため、大きな資産を保有する“重たい事業”は整理し、保有資産の少ないサービス中心の事業への転換をめざしたのです。

残るか出るか、残すか出すか

親会社は子会社に対して絶対的な力を持っています。過半数の株式を保有していますから、日立にとって必要な会社は残し、不要な会社は売却するという方法もありました。欧米のCEOなら躊躇せずにそうすると思います。

私は少し違うアプローチの仕方をしました。「この会社とこの会社を一緒にすればシナジーがある」という理論だけではグループ会社の中で反発が起こり、合理的な判断が難しくなるケースを見てきたからです。感情的な反発が起きると、うまく行くはずのことですらうまくいかなくなってしまいます。社員が「望んで一緒になる」と思えるかどうか。「一緒になったら、もっと大きいことができるな」という自覚を持ってもらえるかです。

これから劇的に変化していく日立に残るか外に出るか、残すか出すか。互いにとっての最適解を得るために、グループ会社のトップと徹底的に議論するところから、グループ再編をスタートさせました。

次ページ「なぜ、業績のいい会社を売るのか」
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事