日立、グループの再編に成功した「ただ1つの理由」 「必要な会社は残し不要な会社は売る」ではダメ

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CEO就任前の2015年度末の日立の総資産は約12兆6000億円ですから、再編のインパクトの大きさがわかると思います。これも、社内革命といってよいほどの大改革だったと思います。大赤字を出したあとの2009年以降、グループ連結の売上は9兆~10兆円規模で推移していますが、この間の事業売却と買収で、その売上のうち実に30~50%が入れ替わっているのです。

中でも、日立グループの再編は大仕事でした。基本方針は、事業環境を踏まえ、事業の将来の成長を見据えて、どのような形にするのが日立グループ、そして当該事業にとって望ましいか。完全子会社化し取り込むか、日立グループよりも大きな事業成長を実現できるパートナーを見つけて株式を一部またはすべて譲渡し、非連結化するかです。2016年には日立物流と日立キャピタル、2017年には日立工機と日立マクセル、2018年には日立国際電気、2019年にはカーナビ事業のクラリオンなどの売却・非連結化を行いました。

日立御三家の一角も売却

さらに、2020年には日立化成、2021年には画像診断関連事業、2022年から2023年にかけては日立建機と日立金属を売却しました。かつて「日立御三家」と呼ばれ、日立グループの成長と発展を支えてきた日立化成や日立金属も含まれています。各社の売却には身を切るような痛みを伴いましたが、それぞれの事業の未来の成長のために決断しました。

上場会社の経営は、いかに当期利益を増やすか、EPS(1株当たり当期利益)を上げるかです。優良なグループ会社をたくさん連結してすばらしい営業利益を上げています、しかし実際には少数株主に利益がどんどん流れて、当期利益は大したことがない……そんな経営がよいとは思えません。

言うまでもありませんが、経済のグローバル化の急速な進展により、ビジネスの世界はどの分野であれグローバルな競争力を持たなければ淘汰される時代となっています。日立もその中で戦っています。

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