ここで大量閉店の理由に戻ります。営業黒字を確保しているにも関わらず、大量閉店に踏み切った理由のひとつには、収益力を高め、ROEを高めるためという目的もあったのではないでしょうか。
先ほども言いましたように、ROEを高めるためには、当期純利益を高めることが必要です。安定的に純利益を確保するためには、本業の儲けである営業利益を伸ばしていかなければなりません。現状、黒字を確保できていても、その水準は極めて低いですから、利益率を伸ばしていこうと考えるのは当然です。
最後に安全性を調べますと、自己資本比率(純資産÷資産)は45.4%ですから、十分安全な水準です。
買収と訪日観光客増のダブル要因で伸びるビックカメラ
続いて、ビックカメラの決算内容を見ていきましょう。ここでは、ヤマダ電機と規模を比較するために、通期の決算である平成26年8月期(2013年9月〜2014年8月)を使います。
損益計算書(10ページ)を見ると、売上高は前の期より3.0%増の8298億円。売上原価は1.9%増の6170億円。売上総利益は6.5%増の2127億円となりました。販管費は微増しましたが、営業利益は46.2%増の190億円となっています。
ビックカメラが好調である理由は何でしょうか。ひとつは、コジマの買収によって収益力を高めたことです。
2012年6月、ビックカメラは家電不況で経営状況が悪化するコジマを買収しました。そこで商品仕入れの一元化、広告宣伝や店舗運営の共通化、不採算店舗の閉鎖などによってコストを削減したのです。その成果によって、平成25年8月期以降、営業利益は2期連続で伸びています。
また、訪日観光客による売り上げが増えたことです。ビックカメラは有楽町や大阪駅前などの都市部の店舗に力を入れていますので、外国人観光客を取り込みやすいのです。
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