「頑張らなきゃ」がしんどければ「そのまま」でいい 自分を安く見積もらず価値を認めて大切に

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「変わりたい」は、「このままの自分ではダメ」「もっとちゃんとしなきゃ」「もっとできるようにならないと」という気持ちの延長線上に蜃気楼のように存在しているようなもので。

ただ、あやふやな感じで「今の自分ではダメな気がする」「こんな状況のままでいいの?」みたいに思っていたりします。

そしてその気持ちを「変わりたい」に変換してしまっているのです。

変わりたいのに「変われない」なら……

けれども、それって考え方によっては「これまでやってきたこと、今までの生き方を含めた、今の自分を否定すること」でもあるんです。

「変わりたい」という意識は「今の自分はダメ」というメッセージを自らに送ることにつながってしまうのです。

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だから「変わりたい」といっても「今の自分の否定」につながるので、不安になったり、怖くなったり、「なんとなく変われない」となるのです。

「自分を変えたい」が今の自分を否定することになるなら、そして、「結局変われない自分はダメなんだ」と苦しむくらいなら……。

「自分を変えたい」という気持ちをいったん手放したっていいのです。

「変わらなきゃ。なのになんで自分は変われないんだろう」と悩んでしまうなら「なんとなく自分は変わりたいんだな」ということだけ頭の片隅に置いておいて、全然違うことをするのもアリだと思います。

そうすることで、自己を否定してしまう気持ちが薄れたら、人は自動的に変わるかもしれないし、世界の見え方が変わるかもしれません。

「今の自分がダメだから変わりたい」ではなくて、「今の自分も好きだけど、次はこういう自分も面白いかも」「こうなったら可能性が広がるかも」。そんなスタンスで「変わりたい」と思えたらいいですよね。

「変わりたい」気持ちにも、「こんな自分はダメだから」の否定からくるものと、「やっぱり私、もっと〜になりたい」と素直に心から思えるものがあります。

自己否定なのか、そうでないのか。

それがわからないうちは、「私、変わりたいんだな」くらいの気持ちの受け止め方で、まずは自分をいたわったり、ケアするほうを優先してみてください。

「変わりたいのに変われない」と悩むくらいなら、今は向き合う時期ではないと考えてみてもいいんじゃないでしょうか。

「変わりたい」気持ちをいったん手放してもいい
藤野 智哉 精神科医

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ふじの ともや / Tomoya Fujino

1991年生まれ。精神科医。産業医。公認心理師。秋田大学医学部卒業。幼少期に罹患した川崎病が原因で心臓に冠動脈瘤という障害が残り、現在も治療を続ける。学生時代から激しい運動を制限されるなどの葛藤と闘うなかで、医者の道を志す。精神鑑定などの司法精神医学分野にも興味を持ち、現在は精神神経科勤務のかたわら、医療刑務所の医師としても勤務。 障害とともに生きることで学んできた考え方と精神科医としての知見を発信。著書に『「自分に生まれてよかった」と思えるようになる本』(幻冬舎)『自分を幸せにする「いい加減」の処方せん』(ワニブックス)、『精神科医が教える 生きるのがラクになる脱力レッスン』(三笠書房)など。

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