「寮での生活はめちゃめちゃしんどかったです。浪人の前半はとにかく詰め詰めで勉強したのですが、模試の成績が全然上がらず、むしろ下がっていました。
もともと家で勉強していたときは、勉強が嫌いではなかったのですが、寮に来てからは漫画を読んだり、ちょっとアニメを観たりすることすらできない環境だったので、余裕がありませんでしたね。浪人生活の後半は、土日に散歩したり、銭湯に行ったりして、休みを挟むようにしたのですが、そのほうが成績が上がりました。自分で勉強できる人からすると、管理される寮生活は向かないと思います」
恵まれた環境で育った友人たちのつらさを知る
そうした鬱屈した環境の中で、彼は一緒に過ごす寮の仲間たちの様子を見ながら、人生について考えたそうです。
「予備校の寮に入っているのはほぼ医者の息子で、医学部志望の浪人生でした。私は貧しい家庭の多い地域で育ったので、裕福な家庭の子どもたちとの交流があまりなかったのですが、寮生活で初めて恵まれた環境で育った人たちも苦しいんだと思いました。
貧しい家庭でも、裕福な家庭でもつらいのだと思い、『幸せとは何か』を突き詰めて考えたら、やっぱり自分がやりたいことのために頑張ることだなと思ったんです。
それまでもそう思っていたのですが、普通のレールから外れる浪人で、そういう人たちに会って、物事を俯瞰して見られるようになったから、いい大学を卒業して、いい企業に入る既定路線の人生とは違う道を目指そうと思いました」
優秀な寮の仲間たちは、浪人期間中も数学の成績が伸びずに苦しんでいたナポ・レボリューションさんにとって、自分との差を思い知らせてくれる存在であったとも語ります。
「寮の友達がある日、ある数学の問題で先生に『こっちの解答でもいいですか?』と質問していたことがありました。それに対して、先生から『この方法でも解けるんだけれど、これはレベルが高すぎて教えていなかった』と言われているのを聞いて、私とは大きな差があるんだなと感じましたね。
私もなんとか予備校の授業についていこうと思って頑張ったのですが、京大の数学となると根本の考え方を理解しないと解けないので、もうあと2年ほど時間をかけないときびしいと感じました。
膨大な量のパターン暗記で補うか、基礎のレベルに戻ってどこでつまずいたかを確認しないと解けないと思ったのですが、いずれにせよ膨大な時間がかかります。やっと数学の解き方がわかり始めたくらいで、浪人生活を終えることにしました」
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