親と親戚を敵に回してでも大学に進学せよ 継母の「イジメ」に負けてはいけない

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あなたが存在するだけで気に障り、すぐに激昂する継母に、すねかじりの延長を要求するなど、決して小さな問題ではないことは理解します。でも、これからの人生を考えれば、あなたが働かないと両親が食べていけないとか、病弱で勉強の継続が無理というのでなければ、後の進学を妨げる理由は小さいです。ダメ元で熱心に申し出ましょう。

それらに失敗した次の作戦その2は、あなたに合った各種の奨学金を探したり、働きながら大学の2部(夜学)に通う選択もあることです。働きながら学ぶのは大変ですが、その後の選択肢の広がりを考えれば、買ってでもする値打ちのある苦労です。学者をはじめ、あらゆる分野で活躍している人を輩出していますので、この選択肢もぜひ、考慮に入れてください。

このコラムに時々登場する、一部上場企業の部長さんは、ほとんどバイトに明け暮れ、親から援助がない状態で某名門私立大学を出ました。ご飯は1カップを炊き、3等分に筋を入れて食べたそうです。食べ過ぎると、1日3食のどれかがもっとひもじくなり、かえって空腹になるからです。彼は紫綬褒章を受けた人で、今はある国家試験の問題の作成者ですが、4年間の空腹と苦労を避けていたなら、このような働きはできませんでした。

ほかにも苦学生の苦労談は枚挙にいとまがありません。信じられないほどの苦労を4年間しながら大学を卒業した人と、進学したかったがその間働き、そこまでの苦労はしなかったけれど、結果大学には行かなかったという人を比較する場合、あなたはどちらに共感を覚えますか。たった4年間の辛抱ですよ。「目標を低く設定して、比較的、楽に達成する人」と、「高く設定して、苦労して達成する人」が得る果実では、甘さも大きさも違います。もちろん、大学もピンキリであり、大学に行くことが目的化することには反対ですし、大学に行かなくとも立派な人はいくらでもいます。大学に行かないことを目標が低いといっているわけではありません。あくまで、川上さまが大学進学を希望されている、という文脈の中で論じています。

両親、親戚を敵に回しても、自分のために大学進学せよ

就職戦線など以外では、誰がどこの学校を出ているかは、人間関係ではまったく問題になりません。私の友人は、最終学歴が高卒の人も中卒の人もたくさんいます。中には英検1級の資格を取った人、「なにくその精神でがんばった」と本をたくさん読んだ人、資格取得魔になった人など、さまざまです。多様な経験を積んで、大学へ行った人以上の勉強をしたと自負する人もいます。彼らは学歴と教養は別物だと教えてくれる人たちです。仕事をバリバリとし、生きる姿勢に浮ついたところがなく、人物や物事の本質を見抜く力があり、言葉がいつも誠実で優しく、尊敬できる仲間です。ですから大学へ行くことだけが、ベストなコースとは言いません。あえて行かない人もいますし、それも立派な人生です。

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