また格安航空会社を設立したANA、2本立て飛行のなぜ?
「全日本空輸(ANA)はわれわれの文化を受け入れようと努力している。すばらしい」(トニー・フェルナンデス=エアアジアCEO)。7月21日、ANAは格安航空会社(LCC)でアジア最大手のエアアジア(本社マレーシア)と共同で、成田国際空港を拠点とする「エアアジア・ジャパン」を設立すると発表した。
新会社の出資比率(資本金50億円)はANA67%、エアアジア33%。エアアジアのブランドやノウハウを全面的に取り込み、2012年8月から国内線と国際線の運航を開始する。「大手の半額から3分の1」(ANAの伊東信一郎社長)という運賃を売り物に、初年度から黒字を狙っている。16年には機材数を30以上とする、野心的な目標も打ち出した。
ダブりの裏に焦燥感
会見の壇上には、お色気満点なエアアジアの女性客室乗務員が並び、ANAとの企業イメージの違いは鮮明に。伊東社長は「エアアジアは連日連夜パーティをしているイメージだった」と、当初は不安があったこともにおわせた。
だがそれ以上に混乱ぎみなのが、ANAが11年2月に香港の投資ファンドなどと発足させたLCC、「ピーチ・アビエーション」(関西国際空港を拠点)の位置づけだ。
伊東社長は「ピーチへは(33%の)出資を行う立場であり、彼らは独自の経営を行う」とする一方、「エアアジア・ジャパンはわれわれが主体的にスピード感を持って立ち上げ、連結収益の最大化を追求するものだ」と説明する。ただ、ANAのピーチ出資予定分は50億円に上るだけに、「ANA1社でLCC事業をバラバラに二つも行う必要があるか」(市場関係者)、という疑問の声は多い。
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