呉氏はCEO就任の2日後、全社員に宛ててメールを送信。「アリババはチームの若返りを進める。『85后(1985年以降生まれ)』や『90后(1990年以降生まれ)』を管理職の主力に抜擢し、業務レベルのマネジメントを刷新する」と宣言した。
さらに2023年11月、呉氏は各事業の優先度の再評価に着手し、「非中核事業に関しては早急に黒字化を図るか、さまざな資本調達手段を用いることで(潜在的な)事業価値を具現化する」と表明。事業売却を含む聖域なき改革の実行を打ち出した。
だが、一連の思い切った改革にもかかわらず、アリババは資本市場の評価を獲得できていない。アメリカのニューヨーク証券取引所に上場するアリババのADR(アメリカ預託証券)は2024年1月、同社が2014年9月にIPO(新規株式公開)を実施した当時の売り出し価格である68ドル(約1万322円)を一時的に割り込んだ。
「失敗を犯すのを恐れるな」
創業者の馬氏が、前述のメッセージをこのタイミングで社内に発信したのは、改革の短期的な成果が見えないことに対する社員の動揺を抑え、改革継続に自信を持って取り組むよう促す狙いがありそうだ。
馬氏はメッセージの中で、「アリババはこれまで数え切れない失敗を犯し、今後も失敗を繰り返すだろう」とも述べ、次のように強調した。
「失敗を犯すのを恐れてはならない。間違わない人間などいないからだ。本当に恐れなければならないのは、間違いに気づかず、間違いを認めず、間違いを改めないことだ」
馬氏はさらに、IT技術は巨大な変革期を迎えており、3年から5年の短期間で天地が覆るほどの変化が起こりうると指摘。「AI(人工知能)の時代はまだ始まったばかりだ。すべての勝負はこれからだ」と、社員を鼓舞した。
(財新記者:包雲紅)
※原文の配信は4月10日
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