中国のEC(電子商取引)最大手の阿里巴巴集団(アリババ・グループ)は3月26日、物流子会社の「菜鳥(ツァイニャオ)」が香港証券取引所に提出していた新規株式公開(IPO)の申請を取り下げたと発表した。
「菜鳥の上場中止は、2つの重要な要素に基づいて決めた。第1に(グループとしての)経営戦略上の観点から。第2に、上場申請から半年が経過し、目論見書を更新して手続きを継続すべきかどうか(市場環境に鑑みて)判断しなければならないタイミングだったからだ」
アリババの董事会主席(会長に相当)を務める蔡崇信(ジョセフ・ツァイ)氏は、26日夜にオンラインで開いた説明会でそう述べた。
同社が菜鳥をスピンオフし、香港証券取引所に上場させる計画を発表したのは2023年9月26日のことだ。
わずか半年で方針転換
「菜鳥の上場は同社の企業価値をよりよく具現化し、向上させると同時に、親会社のアリババとその株主にも利益をもたらす」。アリババは当時、菜鳥の分離独立の意義をそう強調していた。
この発表と同じ日に、菜鳥は香港証券取引所に申請書を提出。アリババが主要事業の6分割を柱とする大がかりな事業再編を2023年3月に発表して以降、正式な上場手続きに入った最初の子会社となった。
にもかかわらず、なぜわずか半年で方針転換したのか。前述の2つの要素のうち経営戦略上の理由について、蔡氏は次のように説明した。
「グループ経営の観点からは、目下の最優先の課題はEC分野の(競合企業に奪われた)市場シェアを取り戻すことだ。消費者にとってより魅力的なサービスを提供するには、グループ傘下のEC事業と菜鳥の物流オペレーションを緊密に連携させることが重要なカギになる」
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