ここ数年、アリババのグループ全体での成長が鈍化するなか、菜鳥は相対的に高い成長を維持してきた。
菜鳥の2023年3月期(訳注:アリババ・グループの会計年度は4月から翌年3月まで)の売上高は778億元(約1兆6313億円)と、前年度比16%増加。しかし損益はまだ赤字であり、同期は28億100万元(約587億円)の純損失を計上した。
「最近の(低迷する中国株式市場の)厳しい市場環境を考慮すると、菜鳥がこのタイミングでIPOを実施するのは(企業価値向上という観点で)グループ戦略と一致しない。また、IPOによって具現化される(時価総額などの)数字は、菜鳥の潜在的価値を反映したものになり得ない」(蔡氏)
従業員の持ち株買い取りの思惑
上場申請の取り下げと同時に、アリババは菜鳥の少数株主および従業員の持ち株を買い取る計画も発表した。1株当たり0.62ドル(約94円)で、最大37億5000万ドル(約5678億円)分を買い取るとしている。
この買い取り価格の根拠について、蔡氏は「菜鳥の企業価値を103億ドル(約1兆5595億円)と見積もったことに基づく」と説明した。
今回のアリババの方針転換により、菜鳥の少数株主と従業員はIPOへの期待を挫かれる結果になった。持ち株の買い取り計画は、その埋め合わせでモチベーションを維持する思惑と見られる。
「菜鳥は発足して10年になる。少数株主も従業員も(事業の成長に貢献した見返りとして)持ち株の現金化というインセンティブが必要だ」。ある菜鳥の関係者は、財新記者の取材に対してそう本音を語った。
(財新記者:包雲紅)
※原文の配信は3月27日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら