「西友」が北海道・九州から撤退する納得の理由 業績不振ではなく企業価値の回復が背景に
この2つのニュースが報じられると、北海道、九州のマスコミを中心に、「西友が北海道、九州から撤退!事業不振の背景は?」といった趣旨で盛り上がっていたが、本件のニュアンスは若干異なる。ウォルマートから大半の株式が投資ファンドKKRに売却されたときから、こうした分割譲渡が起こりうることは想定の範囲内であった。
西友の事業、店舗の見直しが進み、当該エリアにおいても収益性のメドがたってきたため、買い手がついたということなのではないか。なぜなら、西友の主たる株主であるファンドは、西友の企業価値を極大化して売却し、最大のキャピタルゲインを得ることが事業目的だから、である。
環境が整えば全体での事業売却も想定される
西友のプレスリリースによれば、この事業譲渡は、「西友がさらなる成長を目指すために策定した本州を基盤と位置付ける戦略推進の第一歩」であり、「今後はM&Aによる事業拡大も視野に入れながら、本州に経営資源を集中させ」るとしている。
確かに、西友の店舗網は北海道から九州まで広く展開しているが、よくみると北海道と九州は飛び地のようになっている。物流効率を考えれば、北海道と九州を分離すると、3大都市圏及び、南東北、長野県となり、かなり集約できることが見て取れる。会社では、今後さらなる分離売却は考えていない、としたうえで、今後は本州に経営資源を集中してさらなる成長を目指すという。
しかしながら、この趣旨は、あくまでも現時点において、ということであって、環境が整えば、分割のみならず全体での事業売却が想定される。ファンドにとっては、事業再構築が成り企業価値が上昇したときこそ、「売り時」だからである。
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