ピックアップ再燃か、三菱「トライトン」の実力 働くクルマの性能とSUVの楽しさを併せ持つ1台

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トライトンでは過給特性が異なる2つのターボチャージャーを直列に配置して、低速域から高速域まで続く途切れのない加速性能と、高い出力&トルク値を得た。完成度は高く、最高出力を発する3500回転を超えても急激な出力ダウンは起きず緩やかに出力が絞られる。だから、運転リズムがつかみやすい。

こうした優れた出力&トルク特性は、いわゆる「一気燃焼」と呼ばれる高効率な燃焼で得られたわけだが、ディーゼルエンジンといえば「NOx」(窒素酸化物)と「PM」(ディーゼル排気ガス微粒子/DEPとも呼ぶ)の発生が避けられない。このNOxとPMはいずれも人体、そして環境にも悪影響を及ぼすことで知られている。

全席のシートまわり
前席のシートまわり(写真:三菱自動車)

NOxは一気燃焼で燃焼温度が高くなる(≒高い出力とトルクが得られる)と増える傾向にあるが、PMは約2000度にも及ぶ燃焼温度により大きく発生量が減る。逆に燃焼温度を下げるとNOxは減るが、今度はPMが増える。つまりNOxとPM相克関係にある。

そこで多くのディーゼルエンジンは一気燃焼を行いつつ、発生するNOxに対してAdBlue(尿素水)を還元剤に使うSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒で対応。また、連続する低速走行など排気温度が上がらない領域で発生するPMに関してはDPF(Diesel Particulate Filter)触媒で対応し、それぞれ人体に対して無害化レベルまで発生量を抑制する。トライトンはこの両触媒を備える。なお、トライトンが消費するAdBlue(100~150円/L)の量は1000kmごとに1~2L程度と極めて少ない。

ディーゼルエンジン特有の騒音も少なめだった

このエンジンはトライトンとの相性がとても良くて、しかも静か。車外ではガラガラというディーゼル特有の燃焼音が届くものの、遮音材の効果もあって車内への透過音は非常に少ない。具体的にはガラガラ音から耳障りな音域が大きくカットされ、シャカシャカ音に近い音のみ届く。よって連続する走行でも疲労度は小さかった。

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