「親が怖くて指導できず」底辺校教師の悲痛な叫び 東海地方で30年働く先生が語った事(第4回)

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鈴木先生は自身の高校の経験を通して、今の教育現場は言いたいことが言えない環境になってしまった、と感じているようです。その中で鈴木先生が、生徒に言ってあげたい本音とは何か、聞いてみたところ、切実な回答が返ってきました。

「私が勤めている学校は地域の”底辺校”と呼ばれる高校なわけですが、その生徒の親は、結構な割合で、この高校の卒業生です。『自分は全然勉強もせずにこの学校に来て、なんとかなった。だから、自分の子どもも、この学校に入れておけばなんとかなるだろう』と考えている親も多い」

生徒の親自身の学びや意識も大切だ

「学校経営としてはそれでいいのかもしれませんが、本当は、生徒にその意味を考えてほしいんですよね。つまりは階層構造の固定化であり、格差の再生産が行われてしまっているんです。『君たちが親になる頃には、もうちょっと頑張って勉強して、ちゃんとした大学に行って、いい就職先に行って、子どもにちゃんと教育的な投資ができる余裕を持ってほしい。それで、君たちの子どもを、この学校に入れないようにしてほしい』って、目の前の生徒に対して言ってあげたいですよね。そんなことは、今は絶対に生徒に向かって直接は言えませんけど」

昔は言えていた本音が、言えなくなってしまった。鈴木先生の高校の事例を聞いていると、格差の再生産を助長し、次の教育困難を生んでいる、という面があるのかもしれません。これは根深い問題として、今後も考えていく必要があると言えるでしょう。

濱井 正吾 教育系ライター

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はまい しょうご / Shogo Hamai

兵庫県出身、1990年11月11日生まれ。「9浪はまい」のニックネームでTwitterやYoutube、テレビ出演などを行っている。大阪産業大学経済学部経済学科に入学後、龍谷大学経済学部現代経済学科に編入学し、卒業。 高校時代にいじめを受けたことから、いじめっ子を社会的に偉くなって見返したいと思い、在学中から仮面浪人として受験勉強を4年間続ける。大学卒業後、証券会社に契約社員として就職したが10日で自主退職、同月中に配置薬会社に再就職。昼は会社、夜は予備校という生活に。同社退職後は受験勉強に専念し、9浪で早稲田大学に一般受験で合格し、2018年に教育学部国語国文学科入学、2022年卒業。現在はカルペ・ディエム所属。

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