鈴木先生は自身の高校の経験を通して、今の教育現場は言いたいことが言えない環境になってしまった、と感じているようです。その中で鈴木先生が、生徒に言ってあげたい本音とは何か、聞いてみたところ、切実な回答が返ってきました。
「私が勤めている学校は地域の”底辺校”と呼ばれる高校なわけですが、その生徒の親は、結構な割合で、この高校の卒業生です。『自分は全然勉強もせずにこの学校に来て、なんとかなった。だから、自分の子どもも、この学校に入れておけばなんとかなるだろう』と考えている親も多い」
生徒の親自身の学びや意識も大切だ
「学校経営としてはそれでいいのかもしれませんが、本当は、生徒にその意味を考えてほしいんですよね。つまりは階層構造の固定化であり、格差の再生産が行われてしまっているんです。『君たちが親になる頃には、もうちょっと頑張って勉強して、ちゃんとした大学に行って、いい就職先に行って、子どもにちゃんと教育的な投資ができる余裕を持ってほしい。それで、君たちの子どもを、この学校に入れないようにしてほしい』って、目の前の生徒に対して言ってあげたいですよね。そんなことは、今は絶対に生徒に向かって直接は言えませんけど」
昔は言えていた本音が、言えなくなってしまった。鈴木先生の高校の事例を聞いていると、格差の再生産を助長し、次の教育困難を生んでいる、という面があるのかもしれません。これは根深い問題として、今後も考えていく必要があると言えるでしょう。
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