「親が怖くて指導できず」底辺校教師の悲痛な叫び 東海地方で30年働く先生が語った事(第4回)

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生徒の心に一歩踏み込んだ指導は、家庭の問題に介入することにもつながる場合があります。

年長者や社会的地位の高い人たちの言動によるハラスメントが噴出しはじめ、社会問題につながるリスクが高くなってきた現在においては、そうした「熱血指導」は、鈴木先生としてもなかなか難しいようです。鈴木先生個人としては、昔と今の働き方について、どう思われているかを尋ねてみました。

「昔はよかったと一概に言いたいわけではありません。でも、生徒と本気でぶつかるということが、今は圧倒的に減ってきていますね。昔は、赤裸々なところまで踏み込むから、どっちも裸になれる、という意識がありました。

うまくいかなくて、『もう俺なんて死んでやるんだ!』と言ってくるような生徒がいて、それに対して『馬鹿なこと言うんじゃない!』と指導することは多かったですが、今はそんなことを言えるような間柄になるまでに至りません」

「決して体罰を肯定するわけではない」と前置きをされたうえで、先生はこう続けます。

「今では、生徒とぶつかることができる間柄になれないので、生徒の人生を大きく変えるようなこともなかなか言えませんよね。昔のほうが生徒も先生も喜怒哀楽を素直に表現していたのは事実です。それがなくなったというのは、生徒も先生もお互いに喜怒哀楽を表現する機会が減ったということにほかなりません」

喜怒哀楽を表現できない生徒たち

先生も生徒も感情を前面に出していた過去と比べると、現在ではそれを表に出すことができない子どもが増えたとも感じているようです。それは、コロナが到来したことも大きいようでした。

「私の高校の生徒を見ていると、喜怒哀楽を表現できない子どもたちが増えていると思います。昔よりも圧倒的に、喜怒哀楽を表現しない場合が多いのです。しかも、コロナを経たことでマスクを着けたままで会話することが多くなりましたからね。

相手の感情を読み取ることも、自分の表情を作って喜怒哀楽を表現することも、大きく機会が減りました。その要因も相まって、生徒たちは先生のことをあまり信頼できなくなっていると思いますし、先生も先生で、本当のことをなかなか生徒に言えなくなってしまっていますよね」

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