「何の感情も抱かない」底辺校の生徒たちの異変 東海地方で30年働く先生が語ったこと(第1回)

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「今(鈴木先生の)高校に通っている生徒たちには、飢餓感がない」

開口一番、鈴木先生はそう口にしました。

「昔を振り返ると、私が勤める高校は地域の”底辺校”と揶揄されて、生徒や親自身も、将来を悲観し、焦っていました。

『このままだったら、自分(生徒)はちゃらんぽらんな人生を送ることになるかもしれない。食いっぱぐれてしまうかもしれない。そうならないように、頑張らなければならない』と。

つまり、何かしらの努力をする、気力がある生徒たちが多かったのです。そういう生徒たちに対する指導は、まだやりやすかったのですが、最近ではまったく状況が異なります。

『自分は、このままでいい』と考えてしまっていて、何かをやろうとする意欲が低下しているのです」

「今と昔で、生徒の心持ちは大きく変わってしまった」と、鈴木先生は嘆きます。

「学校の雰囲気も含めて、全然(質が)違っていますね。昔は、ヤンキーや不良と言われるようなグレた生徒が多くて、こちらの言うことに対しても、『うるせえ!』と言って反発してきました。私自身も、よく生徒から手を出されたものです。

一方で、今は、とてもおとなしいのです。それも悪い意味で。こちらの言うことに対して反応がなく、『このままでいい』と考えてしまっている生徒が多いのです。昔はみな、自分の人生に危機感を持っていました」

昔の生徒を「血気盛んだった」と語る先生は、さらに若き日々の出来事を思い出しながら、懐かしそうに語ってくれました。

昔は「ここに居続けたくない」意識があった

「わかりやすい例を言うと、かつて私が働く学校の生徒たちは、男子生徒も女子生徒もみんな『こんな底辺高校のバカとは付き合いたくない』と口をそろえて言っていました。それを聞いて私は『お前だってこの高校の生徒じゃないか、どの口が言ってるんだよ!』と笑ったものです。

それは裏を返せば、生徒がみんな『こんなところには、居続けてはいけない』と考えていたということですよね。

やっぱり、『このままじゃいけない』という感覚があって、どこかに飢餓感があった。

だから私自身も『じゃあ、そのためにもしっかり勉強しようぜ!』と声をかけることができていたんです。生徒の中には、頑張って勉強して、ちゃんとした大学に合格した子もいました。でも、今はそんなことはないですね」

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