なぜ「厚底シューズ」を見ると気分が悪くなるのか 日本企業が競争で勝てなかった根本原因は何か

✎ 1〜 ✎ 213 ✎ 214 ✎ 215 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

こう考えると、儲けのほとんどは、テクノロジーでも、イノベーションでもなく、ただ、うまいビジネスモデルにより生み出されているにすぎない。

「そんなことはないはずだ」と思う読者は、新しいテクノロジーそのものである、新薬を考えてみてほしい。新薬開発に製薬各社はしのぎを削っている。近年AI(人工知能)が最も効果的に使われている分野でもある。しかし、新薬を発見しても、新薬自体ではまったく儲からない。

儲かるのは、「特許」という制度で新薬が守られているからだ。「特許」がこの世に存在しなければ、儲けはどこにもない。後発薬で儲ける会社はあるが、あれこそビジネスモデルで儲けているのであって、テクノロジーではない。つまり、新薬という偉大な発明自体は、価値はあっても儲けにはならない。「特許」が必要なのだ。

そんなことは誰でも知っているというだろうが、しかし、製薬に限らず、世の中ほとんどすべてのビジネスによる儲けは、新薬などの「発明」「発見」「画期的なテクノロジー」そのものだけではだめで、それをマネタイズ(収益化)する仕組みが必要なのだ。これも多くの人が知っているだろう。

実際は「発明1%、仕組み99%」

しかし、ほとんどの人は、発明80%、仕組み20%ぐらいに思っているだろうが、実際には、発明1%、仕組み99%なのである。1%のひらめきと99%の汗(最近は「努力」と言うらしいが)によって生まれた発明は1%で仕組みが99%の利益をもたらすのである。

「特許」は法制度で定められたものであり、「特許」自体も発明であるから、すべての利益をもたらす発明であるから、これは偉大な発明である。だが、「特許」制度を発明した人が、その利益を得ているわけではないから、1%どころか、0%なのである。

ビジネスの世界は、この「特許」に相当するものであふれており、コネもブランドも作られた流行も立地も、新薬と特許の関係と同じで、コンテンツ、商品の中身とそれを儲けに換える仕組みという関係なのだ。

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事