「団地再生」の成功事例を深掘りして見えたこと 子育て世帯の「入居続々」大阪・茶山台団地

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多世代交流の場はほかにもある。

「茶山台としょかん」は、従来ほとんど利用されていなかった集会所を、本を持ち寄って小さな図書館として利用しているものだ。高齢入居者向けにスマホ相談会などが開かれることもあり、今では利用者が多いにぎやかな場所に生まれ変わっている。

また、近隣にスーパーがないといった事情を受け、空き住戸を活用した食堂「やまわけキッチン」があるのも大きな特徴の1つだ。軽食やお茶を楽しめるため、月に約250人が利用しているという。

やまわけキッチン
憩いの場になっている「やまわけキッチン」(写真:筆者撮影)

取材当日は2月の3連休の日曜日だったが、スタッフの方々の手によってDIYされた居心地の良い空間で、子どもたちがお昼ご飯を食べていたり、ご高齢の方々がお茶をしていた光景がとても印象的だった。

いつでも大人の目がある安心感

「団地に住んでいると、入居者の人たちが子どもたちの様子を見守ってくれます。誰かの目があり安心できることもこの団地に入居する魅力の1つですね」と、ここの責任者で子どもを持つ女性は話していた。

このほか、介護や健康、子育てなどの相談やチェックなどができる「茶山台ほけんしつ」というスペースも設けられている。

昨年11月から運営されたもので、「ほけんしつだより」という独自リーフレット(月刊)は、雑誌編集の心得がある入居者が制作に携わっている本格的なものだ。

ちょうど5年前、この団地を取材したときは、今ほど地に足の着いた団地再生の姿を目にできようとは、正直なところ考えられなかった(『入居希望者が続々集まる「茶山台団地」のすごみ』)。

運営する大阪府住宅供給公社や行政などの支援があるから可能なことなのだろうと、いぶかしんでいたからである。

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