「団地再生」の成功事例を深掘りして見えたこと 子育て世帯の「入居続々」大阪・茶山台団地
ただ、そうしたことを厭(いと)わない人や家族なら、住まいの選択としては「あり」ではないか。
収入によるが、一般的な賃貸住宅より手頃な家賃で生活できるし、各自治体の住宅公社などでは、子育て世帯を対象とした家賃優遇制度を設けているケースもあるなど、この物価高の時代に住居費を抑えられるのは何よりの魅力だ。
なお、一言で団地といっても共同住宅タイプと戸建てタイプがあり、さらに各都道府県の自治体や住宅供給公社、民間が供給したものなどがあり、管理運営のあり方や課題などはさまざまだ。団地における問題はそれぞれで異なることをあらかじめご承知おきいただきたい。
入居率が93%にまで回復
大阪府の泉北ニュータウン内にある「茶山台団地」(堺市南区)は2017年度に入居率が83%にまで低下していた。この数字だけを見るとおおごとには感じられないかもしれないが、当時は入居者の半数以上が65歳以上で、近隣のスーパーが撤退するなどといった事態が起こっていた。
つまり、何も手を打たなければ、さらなる高齢化、入居率の低下、それらによる過疎化、利便性の低下は必至な状況だったのだ。
そのため、運営者である大阪府住宅供給公社が2015年から再生の取り組みを本格化し、今では入居者が93%まで回復している。
入居率回復の呼び水となったのが、若い世代を呼び込むための仕掛けだ。
たとえば、隣接する2つの住戸を1戸につなげ、広々と住めるリノベーション物件「ニコイチ」や、入居者がDIY(Do It Yourself)で自分好みに模様替えできる物件「つくろう家(や)」などを用意した。
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