原因不明の不調「自律神経の乱れ」はなぜ起きるか ヒトの体は「24時間働くようにできていない」

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そして再び朝になると副交感神経は下がり、今度は交感神経が優位になります。このように交感神経と副交感神経は逆位相で動いていて、12時間交代で切り替わるようになっています。

このように見てくると、しっかり休むには、夜、副交感神経が優位である必要があるとわかるでしょう。

にもかかわらず仕事で心配事があったりイライラしたりしていると、寝る時間になっても交感神経が優位のままで、過緊張が続き、うまくリラックスできなくなってしまうのです。

つまり、自律神経が乱れた状態が続いた結果、先ほどお話ししたように肩こりや眼精疲労といった症状があらわれてきます。そして、疲労がさらに蓄積すると、不眠や便秘などの症状も出てくるようになります。

交感神経と副交感神経のバランスが大事

交感神経と副交感神経の関係は、しばしば自動車のアクセルとブレーキにたとえられます。交感神経はアクセルで、体を興奮・緊張させる力です。

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一方の副交感神経は自動車のブレーキのように、活動を止めて休ませる力です。

なぜ交感神経と副交感神経両方のバランスがとれていることが大事かというと、強いアクセルを踏んだあと、弱いブレーキではなかなか止まれないからです。つまり昼間エネルギッシュに活動したあとはしっかりブレーキを踏んで休まなければいけないのに、ブレーキが弱いと眠りが浅かったり緊張がほどけなかったりして疲れがとれなくなってしまいます。

逆もしかりで、交感神経のはたらきが弱いと、アクセルが弱くてあまりスピードが出ていないのにブレーキを踏んでばかりいるようなもので、ほとんど前に進めません。つまり活動的になれず、いつもだるくて元気がない状態になってしまいます。これも一種の「疲れ」でしょう。

したがって交感神経と副交感神経はどちらも同じくらいのパワーがあるのが望ましく、どちらかが優位になりすぎないよう気をつけることが大事です。それが疲労の予防にもつながります。

片野 秀樹 博士(医学)、日本リカバリー協会代表理事

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かたの ひでき / Hideki Katano

東海大学大学院医学研究科、東海大学健康科学部研究員、東海大学医学部研究員、日本体育大学体育学部研究員、特定国立研究開発法人理化学研究所客員研究員を経て、現在は一般財団法人博慈会老人病研究所客員研究員、一般社団法人日本未病総合研究所未病公認講師(休養学)も務める。日本リカバリー協会では、休養に関する社会の不理解解消やリテラシー向上を目指して啓発活動に取り組んでいる。編著書に『休養学基礎:疲労を防ぐ!健康指導に活かす』(共編著、メディカ出版)。

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